SETUP STYLE / VOL.1
大人メンズに似合うセットアップ前編。Acne Studios、MASU、JIEDAで選ぶ“整う服”
大人の服選びで、意外と頼れるのがセットアップ。
上下を同じ素材や色で揃えるだけで、コーディネート全体に統一感が出る。Tシャツを合わせれば休日らしく、シャツやニットを合わせればきれいめにも見える。
忙しい朝に悩まなくていい。ラフなのに、手抜きに見えない。そして、単品でも着回せる。
今回の前編では、アクネ ストゥディオズ、MASU、JIEDAから、大人の装いに取り入れたいジャケットやセットアップを紹介したい。
セットアップは“ラクなのにきちんと見える”のが魅力
セットアップの魅力は、上下が揃っていることそのものよりも、着た瞬間に全体の印象が整うところにある。
服を選ぶとき、意外と難しいのが上下のバランスだ。トップスは良いけれどパンツが合わない。色は合っているのにシルエットが噛み合わない。カジュアルすぎるか、逆に堅すぎるかで悩む。
セットアップなら、その悩みをかなり減らせる。
もちろん、ただ上下を揃えればいいわけではない。大人が選ぶなら、素材感、シルエット、色の落ち着きが重要になる。
きちんと見えるけれど、頑張りすぎていない。リラックス感はあるけれど、だらしなく見えない。
その中間を作れるアイテムこそ、大人にとって使いやすいセットアップだと思う。
Acne Studios|フィットウールスーツジャケット






クラシックなスーツジャケットに、アクネらしいモダンな表情を加えた一着。
フィットウールスーツジャケット
アクネ ストゥディオズのフィットウールスーツジャケットは、クラシックなスーツジャケットをベースにしながら、どこかモダンな空気をまとった一着。
マルチカラーの撚り糸を使ったウール生地は、斑点調のテクスチャーとチェック柄が特徴。遠目には落ち着いて見えながら、近くで見ると生地の表情に奥行きがある。
この“普通に見えて、少し違う”感じが、アクネらしい。
シングルブレスト、前ボタン、胸元のウェルトポケット、フロントのフラップ付きポケット。仕様だけを見ると正統派のスーツジャケットだが、チェックの表情やフィット感によって、堅すぎない印象に仕上がっている。
ヒップ下の丈感もポイント。短すぎず、長すぎず、ジャケット単体でもバランスを取りやすい。黒やグレーのスラックスに合わせればきれいめにまとまり、デニムと合わせても品のあるカジュアルに寄せられる。
セットアップ的に着るなら、インナーは白Tや薄手のニットで十分。ジャケットの生地に表情があるぶん、合わせる服はシンプルなほうが大人っぽい。
MASU|AGED CANVAS TAILORED JACKET / CANVAS FLARE TROUSERS











テーラリングの品格に、ダメージ加工やフレアシルエットで違和感を加えたMASUらしいセットアップ。
MASUのセットアップは、かなり服好きに刺さる。
AGED CANVAS TAILORED JACKETとCANVAS FLARE TROUSERSは、ウールとモヘアをブレンドしたキャンバス生地を使用した組み合わせ。ドライなタッチとウールらしい風合いがあり、ただのきれいめセットアップでは終わらない存在感がある。
ジャケットは、ピークドラペルのフォーマルな襟元に、ゆったりとした身幅のミドル丈。重厚感がありながら、背抜き仕立てによって重くなりすぎない。
さらに、端正な仕立ての中にダメージ加工を入れているのが面白い。
整っているのに、少し崩れている。品があるのに、違和感もある。このバランスがMASUらしい。
パンツは、同じキャンバス生地を使ったフレアトラウザーズ。裾へ向かって広がるラインと、センタークリースの落ち感が美しい。ベルトループを捻って取り付けるなど、細部にもさりげない違和感が仕込まれている。
大人が着るなら、インナーは白や黒の無地で十分。靴は革靴でもいいし、細身のブーツでも相性が良さそうだ。シンプルに着るほど、素材とシルエットの強さが際立つ。
これは“ラクに整う”というより、整った服の中に違和感を楽しむセットアップと言える。
JIEDA|COMPACT TAILORED JACKET / ONE TUCK SLACKS

















ミニマルでありながら、襟やシルエットにさりげないクセを忍ばせたJIEDAのセットアップ。
JIEDAのセットアップは、ミニマルなのに少しクセがある。
COMPACT TAILORED JACKETは、比翼仕立ての前開き、サイドシームポケット、ショート丈のコンパクトなシルエットが特徴。一般的なテーラードジャケットよりも軽やかで、ブルゾン感覚でも着やすい。
面白いのは、衿を立てて着られる仕様。
フラワーホールをボタンで留めて襟を立てることで、ジャケットの表情が少し変わる。きれいめにも、少しモードにも寄せられる余白がある。
生地はコットン100%ながら、特殊な加工によってシャリ感のある風合いに仕上げられている。コットンらしいカジュアルさを抑えつつ、ドライなタッチで上品に見えるのが魅力だ。
合わせるONE TUCK SLACKSも、同じくコットン素材を使用した一本。ワイドストレートのリラックスフィットで、フロントにはクリース線。ワークディテールとスラックスらしさがニュートラルに混ざっている。
このセットアップは、スーツほど堅くない。けれど、ラフすぎない。まさに、大人の日常にちょうどいい立ち位置にある。
白Tで合わせてもいいし、薄手のタートルやシャツを入れてもまとまる。足元はレザーシューズでもスニーカーでも成立するため、使い勝手はかなり良い。
まとめ:大人のセットアップは、素材と余白で選びたい
前編で紹介した3ブランドは、それぞれセットアップの見せ方が違う。
アクネ ストゥディオズは、クラシックなスーツジャケットにモダンな表情を加える。MASUは、テーラリングの品格に違和感を忍ばせる。JIEDAは、ミニマルで日常に落とし込みやすいセットアップを提案する。
共通しているのは、どれも“ただきれいめ”では終わらないこと。
大人のセットアップ選びでは、派手なデザインよりも、素材やシルエット、着たときの余白が大切になる。頑張りすぎて見えないのに、ちゃんと整って見える。そのバランスを作れる服は、ワードローブにあるとかなり頼れる。
セットアップは、服選びをラクにする。でも、それだけではない。
いつもの自分を少しだけ引き上げてくれる。そこに、大人がセットアップを選ぶ理由がある。
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WARDROBE LAB編集部のひとこと
セットアップは、上下で揃えるだけで完成する便利な服だ。
ただ、大人が着るなら“便利”だけで選ぶと少し物足りない。素材に表情があるか、シルエットに余白があるか、単品でも着られるか。このあたりを見て選ぶと、長く付き合える一着に出会いやすいと思う。
今回の3ブランドは、どれもセットアップを“ただのきれいめ服”で終わらせていないところが良い。ラクに整うだけでなく、着る人の雰囲気まで少し変えてくれる服だ。