PEA COATS
Pコートは、大人が着るとちょうどいい。ウールのピーコート5選
Pコートは、学生のコートだと思われがちです。紺のダブルに金ボタン、という制服の記憶があるからかもしれません。
けれど、Pコートはもともと海軍の水兵が甲板で着ていた作業着です。分厚いウール、大きな襟、風向きで打ち合わせを替えられるダブルの前。どれも、寒さと風から身を守るための形です。
その無骨さは、若い人よりも、大人が着たほうが落ち着きます。顔つきや体つきに厚みが出てから着ると、重いウールに負けない。
冬のいちばん寒い時期に頼れる、ウールのPコートを5着選びました。
選ぶ前に。見るのはウールの厚み、丈、ディテール
Pコートの名前は、オランダ語で粗い毛織物を意味する「pij」に由来するといわれます。原型は18世紀にはあり、アメリカ海軍でも20世紀の初めには水兵の外套として使われていました。
形はどれもほぼ同じです。違いが出るのは、ウールの厚みと、丈と、細部の作り込み。そこで、軍物に寄るか、街のコートに寄るかが決まります。
Pコートは、海の上の作業着です。
だから選ぶ基準は、ウールの厚みと丈。そこで軍物か街着かが分かれます。
Pコートを選ぶときの3点
- ウールの厚み 生地の重さは、オンス(oz)で表されることが多い。30オンスを超えるメルトンは、風を通さず、重く、本物の防寒着になる。軽いウールやナイロン混は、街で着やすい。
- 丈 腰が隠れる程度の短い丈が基本。短いほど軽快に、長いほどコートらしく見える。スーツの上に着るなら、ジャケットの裾が隠れる長さが必要。
- ディテール 大きな襟、胸のハンドウォーマーポケット、錨のボタン。軍物の作りを残すほど無骨に、省くほどすっきり見える。
Pコートは、肩と身幅の合わせ方で印象が大きく変わります。寸法の見方は「服が似合わないのは、サイズのせいかもしれない」で整理しています。
1|Schott。Pコートと聞いて、まず思い浮かべる一着
Pコートの基準を一着持つなら、ショットの740です。
ショットは1913年にニューヨークで創業したブランド。第二次世界大戦ではアメリカ軍にピーコートを納めていました。740は、その流れをくむ定番のモデルで、いまもアメリカで作られています。
表地は32オンスの厚いメルトンで、ウール(再生ウール)が75〜80%。裏地にはナイロンのキルティングが張られ、中綿が入っています。重さは36サイズで約1.8kg。袖を通すと、はっきりと重さを感じるコートです。そのかわり、真冬の風はほとんど通しません。
ネイビーは黒に近い濃紺で、ほかにオックスグレーがあります。サイズはアメリカ表記で、34が日本のM相当。在庫は両色ともほぼ全サイズにあります。重さが気になる人は、後半の3着と比べてください。
740 ウール ピーコート(ネイビー)
66,000円(税込)。表地:再生ウール75〜80%・その他20〜25%(32オンス)、裏地:ナイロン100%、中綿:ポリエステル100%。約1.8kg(36サイズ)。サイズは32〜46(34がM相当)。アメリカ製。ほかにオックスグレー。取扱店:Jalana(ジャラーナ)
商品ページを見る2|BUZZ RICKSON'S。1910年の型を、そのまま
ミリタリーウェアの復刻で知られるバズリクソンズ。このPコートは、アメリカ海軍の1910年のモデルを手本にしています。
大きな襟の裏にはチンストラップが付き、襟を立ててボタンで留められる。胸の左右には、手を温めるためのハンドウォーマーポケットがあり、内側はコーデュロイ張り。前のダブルは、左右どちらが上になっても留められます。風向きに合わせて打ち合わせを替えるための、本来のPコートの仕様です。
表地は36オンスの高密度メルトンで、ショットの740よりさらに厚い。重さはMで約1,950g。それでも裏地に滑りのよいレーヨンサテンを使っているので、袖通しは軽く感じます。ボタンは、13の星と錨を刻んだもの。日本製です。
注意したいのはサイズ感です。ヴィンテージを元にしているため、一回り大きめに作られています。普段のサイズより一つ下も検討してください。XSは在庫切れですが、ほかのサイズは十分にあります。
PEA-COAT “NAVAL CLOTHING FACTORY” BR11554(ネイビー)
71,500円(税込)。表地:36オンス メルトンウール、裏地:レーヨンサテン。約1,950g(M)。サイズはXS(34)・S(36)・M(38)・L(40)・XL(42)・XXL(44)。日本製。取扱店:ジーパンセンターサカイ
商品ページを見る3|Merc London。裏地のタータンで、モッズに寄せる
軍物の重さはいらない。でも、Pコートの形は着たい。そういう人には、メルクロンドンです。
メルクロンドンは、1967年にロンドンのカーナビー・ストリートで生まれたブランド。モッズの服を作り続けてきました。このPコートも、ミリタリーの無骨さより、街の服としての軽さが前に出ています。
生地はウール70%・ナイロン30%。軍物の純毛のメルトンとは違い、ナイロンを混ぜた生地です。背中にはハーフベルトがあり、後ろ姿がすっきり見えるシルエットです。前を開けると、裏地の赤いタータンチェックがのぞきます。ボタンは錨のマーク入り。
閉めればネイビーの端正なPコート、開ければ英国らしい色が出る。ジーンズにもウールのパンツにも合わせやすい一着です。XSは在庫切れ、S〜XLは2〜3点ずつ残っています。
ピーコート 1115205(ダークネイビー)
48,950円(税込)。ウール70%・ナイロン30%。裏地:タータンチェック。サイズはXS・S・M・L・XL(XSは在庫なし)。取扱店:CLOZEST モッズメンズレディース
商品ページを見る4|GLOVERALL。ノッチの襟で、きれいめに着る
Pコートをきれいめに着たいなら、襟の形を見てください。グローバーオールの「チャーチル ピーコート」は、Pコートの大きな襟ではなく、テーラードジャケットのようなノッチドラペルを持つリーファージャケットです。
グローバーオールは、ダッフルコートで知られるイギリスのブランド。このコートは、イングリッシュメルトンのウール100%で、シャープな仕立てに、腰の位置のポケット。ボタンには、海軍の起源にちなんだ錨の模様がエンボスされています。
Pコートの無骨さが少なく、ジャケットに近い顔つきなので、シャツやニットにウールのスラックスを合わせても浮きません。作りはイギリス製と表記されています。
ただし、在庫はほとんど残っていません。販売ページで買えるのはブラックのXS(2S)が1点だけで、グレーとネイビーは全サイズ在庫切れです。また、この店の商品は並行輸入品です。
チャーチル ピーコート MC7690(ブラック)
53,339円(税込・ブラック)。本体:ウール100%、ライニング:コットン100%・アセテート100%。サイズはXS(2S)・S・M・L(在庫はブラックのXS(2S)のみ)。イギリス製ほか。並行輸入品。取扱店:Z-CRAFT
商品ページを見る5|POLO RALPH LAUREN。米海軍のPコートを、細身に
最後は、ポロ ラルフ ローレンのPコートです。ヴィンテージのアメリカ海軍のPコートを元にしながら、シルエットを体に沿うやや細身に直しています。
ボタンは13の星と錨。ここまでは軍物のままですが、胸のスラッシュポケットに加えて、裾に大きなフラップポケットが付き、実用的な作りになっています。表地はウール73%・ポリアミド27%のメルトン。ルーマニア製です。
細身なので、厚いニットを中に着るなら、普段より一つ上のサイズも検討してください。肩幅はUSのSで44.5cmです。
在庫は各サイズ1〜3点。価格はUSのSだけが69,800円、ほかのサイズは59,980円です。この店の商品は並行輸入品です。
ウール ピーコート(ネイビー)
59,980円〜69,800円(税込・USのSのみ69,800円)。表地:ウール73%・ポリアミド27%、身頃裏地:コットン74%・ポリアミド26%、袖裏地:ポリエステル55%・ビスコース45%。サイズは(US)S・M・L・XL・XXL。ルーマニア製。並行輸入品。取扱店:donuts(ドーナッツ)
商品ページを見る厚いウールを、長く着るために
Pコートは、10年単位で着られるコートです。厚いメルトンは丈夫ですが、毛玉と虫には弱い。
特別な手入れはいりません。毎日少しだけ気にかけることで、長く着られます。
手入れの3点
- ブラシで毛並みを整える 着たあとは、上から下へブラシをかける。メルトンの表面のほこりを落とし、毛玉ができるのを防ぐ。
- 重さに耐えるハンガーを使う 1.5kgを超えるコートを細いハンガーに掛けると、肩が落ちて形が崩れる。肩幅に合った、厚みのある木のハンガーに。
- しまう前に防虫を シーズンの終わりにクリーニングに出し、ビニールカバーを外して通気のいいカバーに替える。防虫剤を一緒に入れておく。
まとめ:生地の厚みと、形で選ぶ
基準の一着なら、アメリカ製のショット。1910年の型に忠実なのは、日本製のバズリクソンズ。軽く街で着るなら、タータンの裏地のメルクロンドン。きれいめに寄せるなら、ノッチの襟のグローバーオール。細身に着るなら、ポロ ラルフ ローレン。
Pコートは、厚いほど暖かく、そのぶん重い。どちらが正解ということはありません。冬に何を中に着て、どこへ着ていくか。それで、選ぶべき重さが決まります。
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※掲載している情報は記事公開時点のものです。価格・在庫・サイズ展開は変更となる場合があります。最新情報は各販売ページでご確認ください。


















WARDROBE LAB編集部のひとこと
Pコートの大きな襟を、いつも寝かせて着ている人がいます。
あの襟は、立てるためにあります。冷たい海風から首と顔を守るために、大きく作られている。立てて、チンストラップがあれば留める。それだけで、首元にマフラーがいらないほど暖かくなります。
襟を立てたPコートは、寝かせたときより、ずっと大人に見えます。