WINTER TROUSERS
冬のパンツは、素材で選ぶ。大人のスラックス4選
冬のパンツは、厚いものを選べば暖かい。そう考えて、重いパンツを穿いている人は少なくありません。
ただ、暖かさを決めるのは厚みより、生地がどれだけ空気を抱えているかです。同じ一本のウールでも、表面を起毛させたものと、つるりと織ったものでは、足に触れる温度も、見た目の季節感も変わります。
そして冬は、上にニットを重ねる季節です。ニットの編み地とパンツの織りがぶつかるか、並ぶか。パンツの素材は、上に何を着るかと一緒に決めたほうが、外しません。
起毛したウール、タック入りの化繊混、綿とウール、ハリのある梳毛。素材の違うスラックスを4本選びました。
選ぶ前に。見るのは表面、混率、シルエット
ウールが暖かいのは、繊維が縮れていて、そのすきまに空気を溜めるからです。動かない空気は熱を逃がしにくい。冬のパンツでまず見るべきは、ウールがどれくらい入っているか、そして表面がどう仕上げてあるかです。
一方で、ウールだけが正解でもありません。化繊やコットンを混ぜた生地は、暖かさでは一歩譲るかわりに、シワに強く、扱いやすい。毎日穿くなら、その差は小さくありません。
暖かさは、生地の厚みより、空気を抱えるかどうかで決まります。
見た目の季節感は、表面が起毛しているか、平滑かで決まります。
冬のパンツを選ぶときの3点
- 表面の仕上げ 表面をわずかに起毛させた生地は、見た目にも冬らしく、肌に触れたときの冷たさも少ない。平滑に織った梳毛(そもう。長い繊維をそろえて紡いだ糸)の生地は、ハリと品が出る。
- 混率 ウールが多いほど暖かく、季節がはっきり出る。化繊やコットンが入るとシワに強くなり、手入れが楽になる。どちらを取るかは、穿く頻度で決める。
- シルエット 細身のパンツは、ニットの裾が収まりやすく、全体がすっきり見える。ゆとりのあるワイドやタック入りは、厚手のニットやコートと量感が釣り合う。
ここからは、生地の違う4本を順に見ていきます。
1|PT TORINO。起毛したウールを、いちばん細く穿く
冬のスラックスを一本だけ選ぶなら、PT TORINOの起毛したウールです。
BUSINESSは、ビジネスと名乗りながらも場面を限らない、ブランドの基本となるシリーズ。生地はバージンウール98%にエラステイン2%。表面にわずかな起毛感があり、見た目から暖かさが伝わります。ストレッチが効くので、細身でも窮屈になりにくい。
シルエットはスーパースリムフィット。販売店の説明では、同じシリーズのスリムフィットより渡り幅と裾幅が約1cm細く、股上も約1.5cm浅い。膝下から裾にかけて絞り込んだ、PTらしい形です。前はタックのないノープリーツで、ボタン2つとジップで留めます。
細身なので、太ももの張った人には合いにくいという声が販売ページのレビューにもあります。裾は未処理なので、丈の直しは別に考えてください。ネイビーとチャコールグレーはすべてのサイズで売り切れ、残る色も各サイズ数点です。
BUSINESS SUPER SLIM FIT ノープリーツ スラックス(codf01z00cl1 cm13)
39,000円(税込)。バージンウール98%・エラステイン2%。サイズは44〜54。裾未処理。色はDARKNAVY・GREY・MEDIUMGREY・BEIGE・BLACKほか(ネイビーとチャコールグレーは記事作成時点で全サイズ売り切れ)。取扱店:モダンブルー楽天市場店
商品ページを見る2|BARBATI。2本のタックで、厚手のニットと釣り合わせる
上に厚手のニットやコートを着るなら、パンツにも少し量感があったほうが釣り合います。そういう日のための一本が、バルバッティです。
ナポリ近郊に拠点を置くサルトリア(仕立て工房)のファクトリーブランド。P-OLIVERは2プリーツのスラックスで、腰から膝まではゆとりを持たせ、そこから裾に向かって細くしていきます。太すぎず、細すぎない形です。
生地はポリエステル62%、ビスコース25%、ウール8%、エラスタン5%。ウールは少なく、暖かさではウール主体の生地に一歩譲ります。そのかわりシワに強く、マットな表情はウールのスラックスに近い。前を留めるダブルボタン、腰のVスリットと、作りは本格的です。
イタリア製で16,500円。この価格でタック入りのイタリアのスラックスが手に入るのは、正直に言って珍しい。ただ、写真のグレーは全サイズ売り切れで、ほかの色も残るサイズが限られています。
P-OLIVER 2プリーツ スラックス(225782)
16,500円(税込)。ポリエステル62%・ビスコース25%・ウール8%・エラスタン5%。サイズは44〜52。イタリア製。色はダークブラウン・オフホワイト・ブラック・グレー(グレーは記事作成時点で全サイズ売り切れ)。取扱店:GRANDPERE(グランペル)
商品ページを見る3|BERWICH。綿とウールを半分ずつ、暖房の効いた室内に
冬でも、一日の大半は暖房の効いた室内で過ごす。そういう人には、ウールだけの生地は暑すぎることがあります。
ベルウィッチは、1975年創業のパンツ専業メーカーICOMAN社が2007年に立ち上げたブランドです。MORELLO(モレロ)は、コットン51%、バージンウール47%、エラスタン2%のノータックスラックス。ネイビーの地に、ヘリンボーン(杉綾)の織り柄が入ります。
綿とウールを半分ずつ混ぜた生地は、ウールだけより軽く、蒸れにくい。ヘリンボーンの柄が表面に陰影をつくるので、無地のスラックスより冬らしく見えます。
ただし、これは春夏シーズンのモデルの最終クリアランスです。国内参考価格37,400円が14,850円。残っているのはサイズ50・52・54だけで、52と54は残りわずかです。真冬の屋外が長い日には、ウール主体のパンツのほうが向きます。
MORELLO ノータック スラックス(ネイビー/ヘリンボーン)
14,850円(税込・国内参考価格37,400円)。コットン51%・バージンウール47%・エラスタン2%。春夏モデル。在庫はサイズ50・52・54(記事作成時点)。イタリア製。取扱店:ガルダローバミラノ
商品ページを見る4|EDIFICE。ハリのあるウールを、ベルトなしで
最後は、いちばん新しい形の一本です。
エディフィスのHRTウール サイドアジャスト ワイドパンツ。梳毛ウールに、尾州(愛知県・岐阜県にまたがる毛織物の産地)の「HARUTO加工」をかけたウールツイルを使っています。ウールとは思えないハリとドライな手触りがあり、それでいてしなやかです。
ベルトを通さないベルトレス仕様で、腰の脇のアジャスターで締めます。前にはタックが入り、ワイドなシルエットでも腰まわりはすっきり見えます。ニットをタックインせずに裾を出して着ても、ベルトのバックルが浮きません。
表地はウール100%で、膝裏には裏地が付きます。ブラックはSとMが残りわずか、Lは在庫がありません(記事作成時点)。ほかにグレーとイエローがあります。
HRT ウール サイドアジャスト ワイドパンツ(SR7647)
19,800円(税込)。表地ウール100%、膝裏地ポリエステル100%。サイズはS・M・L。ベトナム製。色はブラック・グレー・イエロー。取扱店:Rakuten Fashion
商品ページを見る冬のパンツを長く穿くための手入れ
ウールのパンツは、毎日穿くと膝が出て、折り目が消えていきます。ただ、これは生地が傷んだのではなく、繊維が伸びたまま休めていないだけです。
ウールには、湿気を含むと元の形に戻ろうとする性質があります。穿いたあとの扱い方で、ほとんどは戻せます。
手入れの3点
- 2日続けて穿かない 一日穿いたら一日休ませる。吊るしておくあいだに、伸びた繊維が戻っていく。
- 裾を挟んで吊るす ウエストではなく裾をクリップで挟み、逆さに吊るす。自重で膝の出っ張りが落ちる。
- ブラシと蒸気 帰ったら上から下へブラシをかけ、ほこりを落とす。膝が戻らないときは、スチームを当てて手で整える。
まとめ:上に何を着るかで、下の素材を決める
細く穿いて冬らしさを出すなら、起毛ウールのPT TORINO。厚手のニットと量感を釣り合わせるなら、2プリーツのバルバッティ。暖房の効いた室内が長いなら、綿とウールのベルウィッチ。ベルトなしで新しく見せるなら、エディフィス。
冬のパンツは、厚さで選ぶと重くなります。空気を抱える素材と、上に着るものとの釣り合いで選ぶ。それで、冬の装いは軽く見えます。
※本記事には広告・アフィリエイトリンクを含む場合があります。
※掲載している情報は記事公開時点のものです。価格・在庫・サイズ展開は変更となる場合があります。最新情報は各販売ページでご確認ください。
















WARDROBE LAB編集部のひとこと
冬のパンツの裾丈は、夏より少し短めに直したほうがいい、という話があります。
冬は靴がブーツや厚底の革靴になり、甲が高くなるからです。夏と同じ丈のままだと、裾が甲の上でたまりやすい。
裾上げを頼むときは、冬に履く靴を持って行ってください。それだけで、たまりのない一本になります。