CASHMERE KNIT
カシミヤは、一枚目こそ無地のクルーで。大人のカシミヤニット5選
初めてカシミヤのニットを買うとき、人はつい「せっかくだから」と考えます。せっかくだから、柄のあるものを。せっかくだから、珍しい色を。
ただ、カシミヤのよさがいちばん伝わるのは、何も付いていない無地のクルーネックです。柄も襟の形もないぶん、糸の細さ、光沢、肌に落ちる柔らかさが、そのまま表に出る。素材を着る服だからです。
しかも無地のクルーは、シャツの上にも、ジャケットの下にも、コートの中にも入る。いちばん出番が多い形で、いちばんいい素材を着る。一枚目にこれを選ぶ理由は、それで十分です。
今回は、価格も作りも違う5枚を選びました。カシミヤが1割のものから、100%のものまで。混率の違いも含めて、正直に見ていきます。
選ぶ前に。見るのは混率、ゲージ、仕上げ
カシミヤは、カシミヤ山羊の細く柔らかい産毛から作る糸です。繊維が細いので肌当たりが柔らかく、繊維のあいだに空気をたくさん抱えるので、薄くても暖かい。
ただ、「カシミヤ」と書かれていても、中身は一枚ごとにかなり違います。どれだけ入っているか、どれだけ細かく編んでいるか、どう仕上げているか。この3つで、手触りも持ちも変わります。
「カシミヤ」の4文字だけで選ぶと、中身の差が見えません。
混率、ゲージ、仕上げの3つを、商品ページで確かめてください。
カシミヤニットを選ぶときの3点
- 混率 カシミヤ100%か、ウールなどとの混紡か。混紡は価格が抑えられ、ウールの張りで型崩れしにくい。100%は柔らかさと軽さが別物になる。
- ゲージ(編み目の細かさ) 数字が大きいほど編み目が細かく、薄く滑らかになる。12ゲージ前後のハイゲージはシャツやジャケットに重ねやすく、低いゲージは一枚で着る厚手になる。
- 仕上げ 編み上げたあと、洗いや起毛で風合いを出す。出しすぎると最初は柔らかいが毛玉が出やすい。あえて控えめに仕上げ、着ながら育てるものもある。
今回の5枚は、カシミヤ1割の混紡から始まります。前半の3枚は2万円前後、後半の2枚は5万円台です。
1|GRAN SASSO。カシミヤを1割だけ混ぜた、入口の一枚
最初に、はっきり書いておきます。この一枚のカシミヤは、全体の1割です。
グランサッソは、1952年にイタリアで創業したニットブランド。このクルーネックは、ヴァージンウール80%・ビスコース10%・カシミヤ10%の混紡で、細かい編み目のハイゲージに仕上げています。
カシミヤ100%の柔らかさを求めるなら、物足りないはずです。そのかわり、ウールが主体なので形が崩れにくく、毛玉も出にくい。毎日のようにジャケットの下に着るなら、この丈夫さはむしろ利点になります。
国内の参考価格42,000円(税抜)に対して、23,100円のセール価格。ただしブラックのみで、在庫は46と50のサイズが残りわずか(記事作成時点)です。イタリア製。
カシミヤ混 クルーネックニット 55159/19699(ブラック)
23,100円(税込・セール価格)。ヴァージンウール80%・ビスコース10%・カシミヤ10%。ハイゲージ。サイズは46・50(ブラックの在庫、記事作成時点)。イタリア製。取扱店:ガルダローバミラノ
商品ページを見る2|DRUMOHR。ネップが散る、英国の老舗の一点もの
ドルモアは、1770年にスコットランドで生まれたニットの老舗です。今回のクルーネックは、カシミヤ97%・ウール3%で、イタリア製です。
無地と書きましたが、厳密には少しだけ違います。ブルーの地に、白や紺の小さな色糸のネップ(糸の節)が散っている。遠目には無地、近くで見ると表情がある。真っさらな無地より、カジュアルなパンツと合わせやすい一枚です。
襟のタグには「SUSTAINABLE LIFESTYLE」とあり、販売ページでもサステナブルラインのものとされています。編み地はほどよい厚みで、一枚で着ても頼りなく見えません。
注意点がふたつあります。まず、販売しているのは新品と中古を扱うリユースのショップで、これは状態ランク「N」(新品)の品です。そして、サイズは44の一点だけ。肩幅35cm・身幅46.5cmと小さめなので、合う人は限られます。
カシミヤウール クルーネックニット(ライトブルー・サイズ44)
19,250円(税込)。カシミヤ97%・ウール3%。サイズは44のみ(肩幅35cm・身幅46.5cm・着丈57.5cm)。イタリア製。新品(状態ランクN)。取扱店:リタリオリブロ
商品ページを見る3|PRODIGAL。五泉のニット工場が作る、日本製のカシミヤ100%
カシミヤ100%を2万円以下で、というなら、プロディガルです。
作っているのは、日本有数のニットの産地、新潟県五泉市の高橋ニット。12ゲージの天竺編み(表目だけを並べた、いちばん平らな編み方)で、編み目の目立たない滑らかな表面に仕上げています。シャツの上に着ても、ジャケットの下に着ても、線が出ません。
面白いのは、風合いをあえて抑えて仕上げていることです。カシミヤは柔らかく仕上げるほど毛玉が出やすくなる。だから最初は少し控えめな手触りで届け、着ているうちに柔らかくなっていくように作っている、と販売ページに書かれています。仕入れた糸を別の検査機関で鑑定し、カシミヤ100%であることを確かめているのも、この価格帯では珍しい。
色はブラック、キャメル、チャコールグレー、ボルドー、ライトグレー、ネイビー、オフホワイトの7色。最初の一枚なら、ネイビーかチャコールグレーが合わせやすいでしょう。
カシミヤ100% メンズクルーネックセーター(写真はネイビー・キャメル)
19,800円(税込)。カシミヤ100%。12ゲージ天竺編み。サイズはM・L・LL(Mで身丈65cm・身幅49cm)。日本製(新潟県五泉市)。取扱店:PRODIGAL(プロディガル)
商品ページを見る4|Cruciani。装飾を削った、イタリアのカシミヤ100%
価格を一段上げるなら、クルチアーニです。イタリアを代表するニットブランドのひとつで、このGIROCOLLO(イタリア語でクルーネック)は、その定番にあたります。
素材はカシミヤ100%。12ゲージの柔らかい編み地で、ゆとりのあるシルエットに仕立てています。写真のグレーは、カシミヤらしい細かな杢の表情と、わずかな光沢がよくわかる色です。
首、袖口、裾のリブは細く、主張がない。ジャケットやコートの下に入れても、襟元がもたつきません。ブランドのロゴも、首の内側のタグだけです。
ただし在庫は少なく、記事作成時点で残っていたのは46(NAVY・BLACK・GREY)と52(BLACK・GREY)が各1点でした。気になるサイズがあるなら、早めに確かめてください。
カシミヤ100% クルーネックニット GIROCOLLO M/L(写真はGREY)
54,800円(税込)。カシミヤ100%。12ゲージ。サイズは46・48・50・52(48で胸囲98cm・着丈65cm)。色はNAVY・BLACK・GREY。取扱店:モダンブルー楽天市場店。残りわずか(記事作成時点)。
商品ページを見る5|YONETOMI NEW BASIC。最初は硬い、育てるカシミヤ
最後は、カシミヤの常識を逆さにした一枚です。
ヨネトミ ニューベーシックは、ニット工場の米富繊維が手がけるプロジェクト。このリジッド カシミア ニットは、繊維が切れる寸前まで強く撚った別注のカシミヤ糸を、目を詰めて編んでいます。手に取ると、スウェットのような張りと厚みがある。重さは約640g(サイズ4)です。
さらに、普通のカシミヤが最後にかける洗いや柔軟の仕上げを、一切していません。紡績のときの油の匂いさえ残した状態で届き、着て手洗いを重ねるうちに油分が抜け、柔らかく育っていく。デニムのように、自分で完成させるニットです。
その代償として、買ってすぐのふんわりした柔らかさはありません。カシミヤに柔らかさを求める人には向かない。逆に、毛玉や型崩れを気にせず、何年も着倒したい人には、これほど心強い一枚はありません。日本製。
RIGID CASHMERE KNIT P/O(15/ロウ)
51,700円(税込)。カシミヤ100%。重さ約640g(サイズ4)。サイズは0・1・2・3・4(0は在庫なし、記事作成時点)。日本製。取扱店:ROCOCO attractive clothing
商品ページを見るカシミヤを長く着るための手入れ
カシミヤの弱点は、毛玉と虫です。どちらも、着たあとの数分の手間でかなり防げます。
高い服だからと、しまい込む必要はありません。着て、休ませて、また着る。その繰り返しのほうが長持ちします。
手入れの3点
- 続けて着ない 一日着たら一日休ませる。繊維が元に戻る時間をつくると、伸びと毛玉が減る。
- ブラシをかける 着たあとに目の方向へ軽くブラシをかけ、ほこりと絡みかけた毛を落とす。毛玉ができたら、引っぱらずに専用の道具で切り取る。
- たたんでしまう ハンガーに掛けると肩が伸びる。たたんで、防虫剤と一緒に引き出しへ。洗うときは洗濯表示に従い、手洗いなら平らに干す。
まとめ:混率と仕上げで選ぶ
毎日着倒す入口なら、カシミヤ混のグランサッソ。表情のある一点ものなら、ドルモア。2万円以下で100%なら、日本製のプロディガル。王道のイタリアなら、クルチアーニ。何年もかけて育てるなら、ヨネトミ ニューベーシック。
細かいゲージのニットを着慣れているなら、ジョンスメドレーの30ゲージとの違いも比べてみてください。同じクルーネックでも、素材が変わると暖かさと落ち感がまったく違います。
一枚目のカシミヤは、無地のクルーで。冬じゅう、いちばん出番の多いニットになります。
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※掲載している情報は記事公開時点のものです。価格・在庫・サイズ展開は変更となる場合があります。最新情報は各販売ページでご確認ください。















WARDROBE LAB編集部のひとこと
カシミヤのニットを、買ってすぐに「毛玉ができた」と手放す人がいます。
カシミヤは細い繊維なので、着始めの数週間は表面の短い毛が出てきて、毛玉になりやすい。これは不良ではなく、性質です。取り除いて着続けるうちに、出る量は落ち着いていきます。
最初の毛玉で判断せず、ひと冬は着てみてください。カシミヤの評価は、二冬目に決まります。